この記事に書いてあること
たとえば500万円を10年で1億円にする場合、1トレードあたりのタイムスパンはどうするのが確率的に最も有利なのでしょうか。
結論を言えば、1週間単位で考えるのが最も有利です。正確に言えば、トレード1回あたりの難易度が最も容易です。
以下では、実際の価格情報を解析した結果ついて記載していきます。
分析方法
今回の分析は以下の条件で行ないました。
元データ
DATA-GETから入手した株価情報を用いました。
検証対象
- 銘柄: 東証一部上場銘柄 (ETFは除外)。
- 期間: 1990/01/09~2021/07/20。
検証内容
- 500万円を10年で1億円にすることを目標とします。
- 1年ごとの複利運用を前提にすると、20%の税金を加味して年利43.7%を達成する必要があります。
- 1年ごとの複利運用を前提にするといっても、部分的には単利運用とならざるを得ません。そこで、単利運用する期間を1年間と1か月間の2パターン検証しました。すなわち、前者では1年間単利運用を続けて年利43.7%を達成することとし、後者では単利運用した1か月ごとの利益を複利運用して年利43.7%を達成することとします。
- 1年間は52週間とし、営業日は240日とします。
- 1トレードについてのエントリーは、各タイムスパンの終値とします。
分析結果
分析結果を説明するうえで、以下のように言葉を定義します。
- 指値で達成できる確率: 必要利回りを指値で達成できたトレード数÷全トレード数です。この確率が今回の記事のメインターゲットです。
- 翌終値で達成できる確率: 必要利回りをエントリーした次の終値できたトレード数÷全トレード数です。この確率が高いほど、必要利回り以上の指値を狙えることを意味します。
- 翌終値で同値撤退できる確率: エントリーした次の終値がエントリー価格以上であったトレード数÷全トレード数です。指値が差さらなかった場合でも損をしなかった確率、とも言えます。
1年間単利運用する場合
トレードのタイムスパンごとの必要利回りは下記のとおりです。
- 1月あたり3.64%
- 1週あたり0.840%
- 1日あたり0.182%
分析結果は下表のとおりです。
確率 | タイムスパン | ||
---|---|---|---|
1月 | 1週 | 1日 | |
指値で達成できる確率 | 0.607 | 0.751 | 0.718 |
翌終値で達成できる確率 | 0.313 | 0.396 | 0.430 |
翌終値で同値撤退できる確率 | 0.487 | 0.478 | 0.453 |
1か月間単利運用する場合
トレードのタイムスパンごとの必要利回りは下記のとおりです。
- 1月あたり3.07%
- 1週あたり0.709%
- 1日あたり0.154%
分析結果は下表のとおりです。
確率 | タイムスパン | ||
---|---|---|---|
1月 | 1週 | 1日 | |
指値で達成できる確率 | 0.655 | 0.775 | 0.725 |
翌終値で達成できる確率 | 0.337 | 0.410 | 0.436 |
翌終値で同値撤退できる確率 | 0.487 | 0.478 | 0.453 |
まとめ
- 500万円を10年で1億円にする場合、1トレードあたりのタイムスパンは1週間単位で考えるのが最も有利なようです。
- 有利というのは、正確にはトレード1回あたりの難易度がもっとも容易であるという意味で、指値で達成できる確率が75%を超えます。
- ただし繰り返しますが、これはトレード1回あたりの確率であって、1億円を達成できる確率ではないので注意が必要です。
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