この記事に書いてあること
ETFを除く東証一部上場銘柄の1営業日単位の価格変動を統計分析してみたところ、明確な傾向が見られました。
結論から言えば、次の3点です。
- 始値で買ってその日の終値で売ると、損益はマイナスになる確率が高い。
- 当然ながら、陽線よりも陰線の数の方が多い。
- 前日の終値で買ってその翌日の始値で売ると、損益はプラスになる確率が高い。
本文中では、分析条件や価格変動のヒストグラムなど分析結果の詳細について書いています。
分析方法
今回の分析は以下の条件で行ないました。
元データ
DATA-GETから入手した株価情報を用いました。
検証対象
- 銘柄: 東証一部上場銘柄 (ETFは除外)。
- 期間: 1990/01/09~2021/02/18。
検証内容
- 前日の始値と、その翌日の始値との差
- 前日の終値と、その翌日の終値との差
- 始値と、その日の終値との差
- 前日の終値と、その翌日の始値との差
ただし、これらの差を絶対値で考えると元の価格に左右されるため、変動率に規格化して分析しました。
分析結果
陽線の数と陰線の数
- 陽線の数: 4,113,532
- 陰線の数: 4,605,441
価格傾向
上図は、左から順に下表のとおりです。
価格差 | 平均変動率 |
---|---|
前日の始値と、その翌日の始値との差 | 0.000311 |
前日の終値と、その翌日の終値との差 | 0.000277 |
始値と、その日の終値との差 | -0.000440 |
前日の終値と、その翌日の始値との差 | 0.000753 |
ただし変動率が0の場合は、取引手数料を加味してマイナスになるように計上しています。
考察
今回の分析結果から言えることは、次の2点です。
- 当日は値下がりしやすい
- オーバーナイトは値上がりしやすい
つまり、1営業日単位の売買をする場合、始値どうし終値どうしで売買するのではなく、終値で買って始値で売る方が有利ということです。
このような傾向がみられる理由は定かではないですが、おそらくポジションを持ち越したくない投資家心理がはたらいているのではないでしょうか。
取引所が閉まっている時間帯に重大ニュースが発表されたらどうしよう、という恐怖感ですね。
投資は多数派が負けるという通説は正しいように思えます。
これを踏まえて、終値で買って翌日の始値で売るシステムがどんな成績を示すか、ぜひバックテストしてみたいところです。
まとめ
- ETFを除く東証一部上場銘柄の、1営業日単位の価格変動を統計分析しました。
- その結果、当日は値下がりしやすく、オーバーナイトは値上がりしやすい傾向が明らかになりました。
- つまり、始値どうし終値どうしで売買するのではなく、終値で買って翌日の始値で売る方が有利であることが分かりました。
コメント