並び黒トレードシステムの最適化

システムトレード

この記事に書いてあること

これまでの調査で、ロウロク足パターンは並び黒が最良であることや曜日ごとの価格傾向は明らかになっています。

そこで、今回は並び黒パターンのトレードシステムを最適化してみました。

結論を言えば、値下がりしている銘柄順に金曜日だけ参入するのが良いようです。

テスト条件

今回のバックテストは以下の条件で行ないました。

元データ

DATA-GETから入手した株価情報を用いました。

テスト対象

  • 銘柄: 東証一部上場銘柄 (ETFは除外)。
  • 期間: 1990/01/09~2021/07/13。

トレード条件

参入

  • 参入のローソク足パターンはこの本の並び黒に従う。
  • 今日の終値は120円より大きい。
  • 今日の売買代金は1億円より大きい。
  • 上記を満たしたときにシグナルが発生し、翌営業日の終値で成行買い。
  • 一日あたりに投下する資金額は固定し、3銘柄均等分散。
  • その他の条件は各論の検討にて記載。

退出

  • 参入日の翌営業日に寄付で成行売り。

テスト結果

ここからは実際のテスト結果を記載していきます。

  • 表中の「No.」列は、僕のテスト番号です。1から始まっていなかったり、飛んでいる番号があったりもしますが気にする必要はありません。
  • 表中の「直線性」は、資産カーブがどれだけ直線的であるかを決定係数で表現しています。

最適化前

下図は最適化前のトレード結果です。具体的な数値は以降のNo. 14を参照してください。

No. 14のトレード結果 (左: 資産カーブとドローダウン 右: リターンの度数分布)

参入する曜日

ラリー・ウィリアムズの短期売買法 【改定第2版】では、TDW (トレーディングデイ・オブ・ザ・ウィーク) という言葉でトレードの曜日効果について言及されています。

下表が、今回のトレードロジックについて曜日効果を検証した結果です。

  • 表中の「曜日」は、シグナルを発生させる曜日です。すなわち実際に参入するのは翌営業日になります。
  • 参入する銘柄の優先度は、20日前の終値からの変化率が小さい順です。
No. 曜日 参入日数 最終利益 最大DD 直線性 勝率 PF 平均利益 平均/DD
14 すべて 7691 27.38 -0.42 0.96 61.7 2.02 0.00356 0.0085
16 1443 4.80 -0.21 0.97 60.1 1.97 0.00333 0.0158
17 1560 5.03 -0.21 0.94 61.5 1.96 0.00322 0.0154
18 1561 5.21 -0.27 0.93 59.4 1.95 0.00334 0.0124
19 1565 7.05 -0.20 0.97 64.5 2.19 0.00450 0.0225
20 1562 5.27 -0.32 0.94 62.7 2.03 0.00337 0.0105

結果を見ると、予想通りNo. 19が最も成績が良いようです。

木曜日にシグナルが出るということは、実際に参入するのは金曜日です。以前に調査した四本値の曜日傾向から、終値は金曜日が最も安くなる傾向があり、始値は月曜日が最も高くなる傾向があることが分かっています。

参入銘柄の優先度

まずは「○日前の終値からの変化率」のテスト結果です。

  • 表中の「優先度」列に書かれている数値が「2」だった場合、「2日前の終値からの変化率」が小さい銘柄ほど優先的に参入します。
  • 参入シグナルは木曜日のみ、すなわち実際に参入するのは金曜日のみです。
No. 優先度 参入日数 最終利益 最大DD 直線性 勝率 PF 平均利益 平均/DD
21 1 1569 5.46 -0.26 0.93 59.7 1.77 0.00348 0.0134
22 2 1569 5.29 -0.31 0.90 59.3 1.72 0.00337 0.0109
23 4 1569 5.63 -0.32 0.92 61.1 1.81 0.00359 0.0112
24 8 1568 6.54 -0.19 0.94 62.8 1.98 0.00417 0.0220
25 16 1566 6.69 -0.22 0.95 63.6 2.06 0.00427 0.0194
19 20 1565 7.05 -0.20 0.97 64.5 2.19 0.00450 0.0225
26 32 1563 6.26 -0.25 0.96 64.2 2.07 0.00401 0.0160
27 64 1556 5.73 -0.46 0.94 63.6 1.91 0.00368 0.0080

次に「○日間単純移動平均乖離率」のテスト結果です。

  • 表中の「優先度」列に書かれている数値が「5」だった場合、「5日間単純移動平均乖離率」が小さい銘柄ほど優先的に参入します。
  • 参入シグナルは木曜日のみ、すなわち実際に参入するのは金曜日のみです。
No. 優先度 参入日数 最終利益 最大DD 直線性 勝率 PF 平均利益 平均/DD
28 3 1569 5.28 -0.33 0.87 59.3 1.72 0.00337 0.0102
29 5 1569 5.48 -0.26 0.91 59.7 1.75 0.00349 0.0134
30 10 1568 6.80 -0.22 0.93 63.1 2.06 0.00434 0.0197
31 20 1566 6.47 -0.23 0.94 64.3 1.99 0.00413 0.0180
35 30 1563 6.94 -0.20 0.96 65.1 2.15 0.00444 0.0222
36 40 1561 7.01 -0.18 0.96 64.3 2.17 0.00449 0.0249
32 50 1559 6.81 -0.23 0.96 64.5 2.16 0.00437 0.0190
37 60 1557 6.76 -0.24 0.95 64.7 2.12 0.00434 0.0181
38 70 1555 6.36 -0.32 0.95 64.4 2.02 0.00409 0.0128
33 100 1550 5.99 -0.39 0.95 63.5 1.99 0.00386 0.0099
34 200 1529 6.04 -0.45 0.95 64.2 2.02 0.00395 0.0088

今回テストした範囲では、40日移動平均乖離率が小さい順に参入した方が好成績になるようです。

下図はNo. 36のトレード結果です。

No. 36のトレード結果 (左: 資産カーブとドローダウン 右: リターンの度数分布)

所感

並び黒パターンのトレードシステムでは、最適化によって平均利益が1.5倍程度向上する結果となりました。とは言え、トレードする曜日を限定したことで資産カーブの滑らかさや最終利益は下がってしまうので、最適化の前後どちらを好むかは人によりそうです。

最適化前後の結果 (最適化前は最終利益と資産カーブの滑らかさに優れるが、最適化後は平均利益に優れる)

今回検討した「終値の変化率」と「移動平均乖離率」以外にも様々なテクニカル指標はありますが、このロジックにおいては「値下がりしているほどパフォーマンスが上がる」という本質は変わらないように思えます。

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