AI・機械学習・ディープラーニング、どれに取り組むべきか

この記事に書いてあること

AI・機械学習・ディープラーニング、どう違うんだろう?という疑問を解消します。

そのうえで、僕らは一体どれに取り組めば良いのか考える材料を提供します。

システムトレードにおける、ディープラーニングの致命的な欠点についても言及します。

AI・機械学習・ディープラーニングの違い

まず押さえておきたい関係は「AI > 機械学習 > ディープラーニング」ということです。

したがって、機械学習といえば本来はディープラーニングも含まれるのですが、多くの場合は、機械学習であってディープラーニングでないものを機械学習と呼んでいるようです (下図でいえば赤い部分を除いたオレンジの領域)。

このように本来の意味と通例が食い違っているせいで、機械学習とディープラーニングの違いが分かりにくくなっているのだと思われます。

【画像元】MarkeZine AI、機械学習、ディープラーニングの違いを説明できますか?機械学習と統計の違いは?

どれに取り組むべきか

機械学習とディープラーニングが良い

では、僕らのようなトレーダーが取り組む価値が高いのはどの領域でしょうか?

個人的な意見ですが、システムトレードや科学技術分野では必ずしもヒトっぽさを追求する必要はないので、機械学習とディープラーニングに取り組むのが良いと思われます。

機械学習とディープラーニングの違いをシステムトレードに当てはめて考えると、以下のようなイメージです。

  • 機械学習: 四本値パターンや移動平均など、株の予測に役立ちそうだと人間が考えた要素 (特徴量) をインプットする
  • ディープラーニング: 手元のデータを全部ぶっこんで、株価の予測に役立つ要素 (特徴量) を機械が判別する

一見すればディープラーニング一択にも見えますが、それぞれにメリットがあり、またモデルの精度を向上させるために重要なポイントや時間を費やすことになる部分が異なります。

  • 機械学習: ディープラーニングよりも早く結果が出ます。モデルの精度を向上させるために重要なことは、どんな特徴量をインプットするか考えたり、その効果がどれほどか評価したり、特徴量自体の開発をしたりすることです。
  • ディープラーニング: 機械学習よりも複雑な問題に適用できます。特徴量について考える手順をスキップできますが、代わりにモデルの学習やアーキテクチャを考えることが重要になります (活性化関数とかオプティマイザ、RNNとかCNNとかのことです)。

ディープラーニングの致命的な欠点

また、ディープラーニングについては、モデルの中身や判断の根拠が人間には分からないという問題があります (ブラックボックス問題)。

ブラックボックス問題は、システムトレードにおいては致命的な欠点になり得ます。

システムトレードの難しさは、期待値が正になるシステムを見出す技術的な側面だけではなく、そのシステムに従い続ける心理的な側面も非常に大きいです。

ドローダウンに陥ったとき、自分の資産を委ねているシステムの中身やシグナルの根拠が不明なまま、僕らはそのシステムに従い続けることができるでしょうか。

実際の運用を考えるなら、ディープラーニングを使わなくても好成績なシステムを見出せるに越したことはなく、統計的な根拠がある手法であればなおのこと良いと僕は考えています。

まとめ

  • 本来「AI > 機械学習 > ディープラーニング」の関係だが、機械学習のうちディープラーニングを含まないものを機械学習と呼ぶことが多い。
  • 僕らトレーダーが取り組むべきは、機械学習とディープラーニング。ディープラーニングの方が複雑な問題に適用できるが、ブラックボックス問題はシステムトレードにおいて致命的。
  • 技術的な側面だけでなく、心理的な側面も考慮して手法を選択する必要がある。

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